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脂質31:過酸化脂質の問題

 ここで、素朴な疑問。
 そもそも、過酸化脂質がたくさんできると、なぜ困るのでしょうか?

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 活性酸素の場合、相手のいない手がありますから、非常に不安定で危険です。
 一方、過酸化脂質には、相手のいない手はありません。
 ですから、自分から他の分子にちょっかいを出す性質はなく、とりあえず安定した状態です。

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 ただし、過酸化脂質は金属イオンに触れると簡単に分解されてしまい、カルボニル化合物がつくられます。
 このカルボニル化合物の中には、「マロンジアルデヒド」のように、非常に不安定で、生物毒性のある物質も含まれているのです。

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 細胞膜には、たくさんのタンパク質が埋め込まれています。このタンパク質にマロンジアルデヒドが結合すると、タンパク質は満足に働けない状態になり、細胞の機能が低下してしまいます。
 また、マロンジアルデヒドには、DNAにダメージを与えて、発がんリスクを高める可能性も指摘されています。

 つまり、過酸化脂質には、ささいなきっかけで分解され、極めて危険な分子を放出する性質があることが問題なのです。
 細胞膜に過酸化脂質が広がっていくと、潜在的な危険分子をたくさん抱えこむことになってしまいます。

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 たとえ有害なカルボニル化合物を放出しないでいたとしても、過酸化脂質は十分に有害です。
 細胞膜に過酸化脂質がたくさん含まれていると、それだけで細胞膜の働きが低下してしまうからです。

 細胞膜は、とっても大切な働きをたくさん担当しているので、満足に働けなくなると大変困るのです。
 細胞膜のお仕事の一端をご紹介しておきましょう。

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 細胞膜は、細胞の中に入れたくないものをシャットアウトする壁になります。

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 細胞に必要な栄養素などは、細胞の中に入れてあげます。
 細胞膜に埋め込まれているタンパク質の一部は、栄養素をとりこむドアの役目を果たしています。

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 からだの中の細胞たちは、お互いにメッセージをやりとりして協調して働いています。
 メッセージは、ホルモン、神経伝達物質、サイトカインなどのかたちで送られます。ホルモンなどは、からだの中で使われる郵便のようなものなのです。
 こうした郵便を受け取る担当になっているのが、細胞膜に埋め込まれているタンパク質です。

 細胞膜がうまく機能しなくなると、有害な物質は細胞内に入りやすくなり、必要な栄養素は入りにくくなり、細胞同士のコミュニケーションはとりにくくなります。
 結果として、健康状態が低下しやすくなるのです。
 

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