精進料理 鎌倉不識庵
ベジタリアンフードセラピストとして札幌中心に大活躍の安藤夏代さんに強く勧められて、不識庵に行ってきました。鎌倉稲村ケ崎にある一軒家の精進料理店で、営業日は不定期、予約必須です。
店主の藤井まりさんは、日本全国、世界各国で料理指導をされています。
藤井さんのレシピ本がほしくて、どの本が一番お勧めですか?とお聞きしたところ...
選んでいただいたのが、「宗哲和尚の精進レシピ」 (河出書房新社)。6年前に亡くなられたご主人の藤井宗哲和尚との共著です。
さっそく読んでみたのですが、この本が素晴らしい!
何が素晴らしいかというと、宗哲和尚の文章にこの上ない魅力があるのです。
爽やかで温かみのあるお人柄が伝わってきます。
文章を読んでいるというより、目の前で親しく語りかけてもらっている気がして仕方ありませんでした。この人と一緒にいることが楽しい。そんな気持ちよさに包まれて、夢中で読み進めてしまいました。
前書きには、このように書かれています。
長じて、ぼくは修行道場で十年あまり修行した。小僧上がりというわけで、修行中はずっと展座(てんざ)を任されてきた。展座とは禅寺の台所役をいう。もちろん扱うのは精進物である。それも旬のものを。小細工などしない。ありのまんまを料理すればいいだけだ。自然には潤いがある。その潤いをいただいていれば、わが心身も潤う。あたりまえのことである。
不識庵でいただいたのは、まさに小細工のない、心身の潤うお料理でした。
たけのこやうどを中心に、旬の味覚を堪能しました。
野菜料理を売り物にしたお店でも、野菜のおいしさを十分引き出せていないなぁと思うことがよくあります。
藤井さんのお料理は、野菜の一切れ一切れを噛みしめるごとに、滋味が広がっていく感動がありました。ぼくの一番好きな料理は、やっぱりこういう野菜料理なんだなぁと再認識した一日でした。